時代の変化とともに、子供たちの成長環境も大きく変わりました。昔は限られた情報と接することで、小さな世界の中で自己評価を育んできた子供たち。今ではインターネットとSNSの普及によって、世界中の出来事や人々の成功体験が瞬時に目に入るようになりました。この急激な変化は、子供たちの自己認識や挑戦に対する態度にも大きな影響を与えています。今回は、昔と今の子供たちの世界の違いを探りながら、現代の子供たちが直面している「高すぎる壁」と、それに対する我々大人の役割について考えてみたいと思います。

昔は子供の世界が狭かった

かつて、私たちが子供だった頃、世界はもっとシンプルで狭かった。小学校という小さな社会の中で、例えばクラスで一番足が速いとか、テストの成績が一番だとか、その狭い範囲での「一番」を誇りに感じ、それが自分の世界の全てだった。友達や先生からの評価が、そのまま自分の評価として受け入れられていた。子供の頃の私たちは、自分の能力を測る基準が限られており、それゆえに自己肯定感を得やすかった。

たとえば、運動会で1位になれば「クラスで一番速い」と称賛され、それがそのまま自信につながった。学芸会で主役を務めれば、「クラスで一番演技がうまい」と評価され、それが自己肯定感を育んだ。このように、狭い範囲での成功体験が重なり合い、自分の中で「自分はできる」という感覚が育まれていった。

世界が広がるにつれて見えてくる現実

しかし、年齢を重ねるとともに、中学校や高校といった新しい環境に移り、自分の世界が徐々に広がる。多くの人々と出会い、そこで初めて自分より優れた人々の存在を知ることになる。これまでの「一番」が通用しない現実に直面し、初めて自分のレベルや限界を感じる瞬間が訪れる。新しい環境での挑戦や挫折を経験することで、自分の本当の実力を認識し、自己評価を見直すことになる。

このプロセスは決して否定的なものではない。新しい挑戦が待っていると感じることで、次のステップへの意欲が湧いてくる。小さな成功体験を積み重ねてきたからこそ、次の壁が高くても「乗り越えられる」という自信が生まれるのだ。たとえば、中学校の部活動で初めて全国大会に出場したとき、自分の能力を試す絶好の機会となり、そこで得た経験は将来の自信につながる。

SNSの普及による急激な世界の広がり

しかし、現代の子供たちの状況は大きく異なる。SNSの普及により、彼らは幼い頃から世界と直結している。インターネットを通じて、瞬時に世界中の情報や他人の成功体験を目にすることができる。その結果、自分の周囲だけでなく、世界中の競争相手と比較されるようになるのだ。これは一見、素晴らしい機会のように思えるかもしれない。しかし、同時に非常に高い壁を感じさせる要因にもなっている。

例えば、絵を描くことが好きな子供がSNSで他の才能あるアーティストの作品を見ると、「自分はこんなに上手く描けない」と感じてしまうことがある。成功するには自分には到底及ばないレベルが必要だと、諦めてしまうことも多い。世界中のトップクラスの才能と瞬時に比較されることで、自分の能力が過小評価され、自信を失ってしまう。

高すぎる壁と早すぎる諦め

SNSによって急速に広がる世界は、確かに多くの情報と刺激を与えてくれるが、同時に「高すぎる壁」と感じさせることもある。挑戦する前に自分には無理だと諦めてしまう子供たちが増えているのは、そのためだ。幼少期から全世界と比較されることにより、自己評価が低くなり、挑戦する意欲が削がれてしまうのだ。以前は中学校や高校といった段階的に広がる世界の中で、自分のレベルを徐々に認識していったが、今ではいきなり世界と直面するため、その過程を経ることなく挫折感を味わうことになる。

たとえば、音楽が好きな子供がSNSで世界中の天才ピアニストの演奏を見ると、自分の技術が未熟だと感じてしまう。さらに、SNS上では成功した姿だけが強調されるため、努力や失敗の過程が見えにくい。結果として、子供たちは「自分には才能がない」と早々に結論を出し、挑戦を諦めてしまうことが多い。

自信を育むために必要なこと

このような状況の中で、私たち大人ができることは何だろうか。それは、子供たちにとって小さな成功体験を積ませることだ。世界全体と比較するのではなく、身近な環境での達成感や成功体験を感じさせることが重要だ。地域のスポーツ大会や学校の発表会といった、手の届く範囲での目標を設定し、それを達成する喜びを教えることが求められる。子供たちが自分のペースで成長し、自信を持てるような環境を整えることが大切だ。

また、SNSの使い方についても教育が必要だ。比較するためではなく、インスピレーションを得るために使うこと、自分自身の成長を楽しむために使うことを伝えることで、SNSがポジティブな影響を与えるツールとなるよう導くべきだ。たとえば、SNS上で見つけた素晴らしいアート作品を参考にして、自分なりの作品を作り上げることで、創造力を伸ばす機会とすることができる。

さらに、子供たちが挑戦することの大切さを理解できるように、失敗を恐れずに何度でも挑戦することの意義を教えることが重要だ。失敗から学び、それを次の成功につなげることができるよう、サポートしていくことが大切だ。

まとめ

昔は狭かった子供の世界が、SNSの普及によって一気に広がった現代。高すぎる壁に直面して早々に諦めてしまう子供たちを、私たち大人はどのように支えていくべきかを考えることが重要だ。小さな成功体験を積み重ね、自信を持たせること。そして、SNSの正しい使い方を教えることで、子供たちが前向きに挑戦し続けることができる環境を作っていくことが、私たちの役割なのではないだろうか。子供たちが夢を追い続けることができるように、私たち大人がそのサポートを惜しまず提供していくことが、未来の社会をより豊かにしていく第一歩となるだろう。