近年、熱中症のニュースが後を絶ちません。
「水分をとっていたのに倒れた」「塩分補給していたのに熱中症に…」
このような声、聞いたことありませんか?
私たち誠空会では、単に「暑いから避ける」のではなく、「暑さに慣れる・備える」ことが本質的な対策だと考えています。そして、そのカギの一つが「塩=ナトリウムの質」にあるのです。
実は、戦後から急速に普及した精製塩(ナトリウム99%以上)の過剰摂取が、発汗機能の低下やミネラルバランスの崩壊を招き、熱中症のリスクを高めているという仮説があります。
この記事では、「熱中症と精製塩の関係」を軸に、誠空会での指導実践を交えて、本質的な暑さ対策を深掘りしていきます。
目次
そもそも熱中症とは何か?誤解されがちな基本知識
熱中症のメカニズムと発生要因
熱中症とは、体温調節が機能せず、体内に熱がこもる状態のことです。主に以下の3要因が複合的に絡み合って発症します。
- 高温多湿環境
- 脱水・ミネラル不足
- 発汗機能の未発達/低下
特に子どもや高齢者は汗腺が未発達だったり衰えていたりするため、発症リスクが高まります。
「水分+塩分補給」で防げない熱中症がある理由
「熱中症予防=水分+塩分補給」という認識は広まっていますが、何を補給するかが非常に重要です。
市販の塩タブレットやスポーツドリンクの多くは、ナトリウムに特化した“精製塩”由来の塩分であり、ミネラルバランスが極めて偏っています。
ナトリウムばかりを摂取していると、体内のカリウム、マグネシウム、カルシウムとのバランスが崩れ、かえって体調不良や発汗異常を引き起こします。
精製塩が普及してから、熱中症は増えた?
日本の塩文化と“ミネラル抜き塩”の登場
日本では1950年代まで、海水を自然乾燥させた天然塩が一般的でした。しかし、戦後の塩専売制度と工業化により、ナトリウム99%以上の精製塩が主流に。
この塩には、カリウム・マグネシウム・カルシウムなどの微量ミネラルが一切含まれていません。
詳しくは「塩は体に悪いは嘘!?:GHQの塩規制と自然塩の驚きの効果」も参考にしてください。
データが示す熱中症患者の増加傾向
厚生労働省の統計によると、1995年以降、日本国内の熱中症による救急搬送者数は急増傾向にあります。
ここで注目したいのが、食生活の変化です。
- 天然塩→精製塩へ(ミネラル摂取量の激減)
- 発酵食品の摂取減少(味噌・漬物など)
- 加工食品の増加(保存性の高い精製塩使用)
つまり、現代人は「ミネラルの飢餓状態」にあるとも言えるのです。
“暑さに強い体”のつくり方
汗腺を鍛える運動指導と15分ごとの水分補給
運動中に15分ごとの水分補給を徹底する。
加えて、無理のない範囲で「しっかり汗をかく」運動を意識的に取り入れ、汗腺を鍛える。
ミネラル補給は家庭での協力がカギ
- 朝食に味噌汁+梅干し(カリウム・クエン酸)
- こまめに麦茶や天然塩水を取る
- 調理に“海塩”や“岩塩”を使用する
精製塩と天然塩の違いを正しく理解しよう
化学構造の違いと身体への影響
項目 | 精製塩 | 天然塩 |
---|---|---|
主成分 | 塩化ナトリウム(純度約99.5%) | 塩化ナトリウムに加えミネラル(マグネシウム・カリウムなど)を含む |
製造方法 | 工業的に精製、添加物や不純物を除去 | 天日干しや海水の自然蒸発で製造、ミネラルを保持 |
ミネラル含有量 | ほぼゼロ | 多種の微量ミネラルを含む |
身体への影響 | ナトリウム過剰摂取リスクが高く、熱中症リスク増加の可能性 | ミネラルバランスが良く、体内電解質の調整をサポート |
味・風味 | 塩味が強く単調 | まろやかで複雑な風味 |
天然塩に含まれるマグネシウムは発汗・神経伝達に重要です。精製塩ではその機能が期待できません。
精製塩 vs 天然塩の成分比較(100gあたり)
成分 | 精製塩(工業製法) | 天然塩(海塩・天日干し) |
---|---|---|
ナトリウム | 約99.5g | 約80g |
塩化物 | 約60g | 約55g |
マグネシウム | ほぼ0g | 約1.5g |
カリウム | ほぼ0g | 約0.6g |
カルシウム | ほぼ0g | 約0.2g |
その他微量ミネラル | ほぼなし | 微量含有 |
選び方とおすすめの塩
「ぬちまーす」(沖縄・海塩)
ミネラル豊富でまろやかな味わい。ミネラルバランスに優れ、熱中症対策にも適しています。
「粟国の塩」(沖縄・伝統製法の天日塩)
天然の太陽と風でじっくり結晶化。昔ながらの製法でミネラルを豊富に含みます。
※過剰摂取は禁物。適度な量でバランスよく使いましょう。
結論:熱中症対策は「質」と「慣れ」がカギ
水分や塩分補給はもちろん大切ですが、「何を・どのように」摂取するかがより重要です。
また、汗をかける身体を日常的につくっていくことで、熱中症は予防可能なリスクに変わります。
ぜひ、誠空会の考え方を参考に、「暑さに負けない身体づくり」に取り組んでみてください。